こんにちは。デンタルサポート訪問サポート担当の野田です。
私は地方エリアでの現場サポートや訪問先営業など、訪問歯科診療の支援業務全般に携わっています。
訪問歯科診療に関するお悩みから問題点を分析し、課題解決のヒントをお伝えします。

院長先生、「居宅療養管理指導」についてこんなお悩みはありませんか?
- 「介護保険の算定は理解できた。でも、それだけで患者様は増えるのだろうか」
- 「ケアマネジャーと連携できれば紹介につながると聞くが、実際にどうやって関係を作ればいいのかわからない」
- 「情報提供書をケアマネジャーに送ればいいのはわかった。でも、それだけで本当に動くのか」
居宅療養管理指導について制度を理解し、院内体制を整えても、「次に何をすればいいか」が見えず、一歩を踏み出せない方も少なくありません。
答えは、情報提供書の活用方法にあります。情報提供書を「義務だから送る」と事務的に扱う医院と、信頼を積み上げる機会として活用する医院では、ケアマネジャーからの紹介数に大きな差が生まれます。
本コラムでは、その差を生む情報提供書の「渡し方」と「書き方」を解説します。
連載目次
訪問歯科診療と介護保険 算定完全ガイド【全3回】
情報提供書は信頼構築のチャンス
居宅療養管理指導を算定する際は、ケアマネジャーに情報提供書を交付する必要があります。多くの医院では、厚生労働省が定めた「別紙様式2(居宅療養管理指導・歯科医師)」を使用しています。
ただし、この書式はチェックボックスが中心のため、医院ごとの記入内容に差が出にくい傾向があります。そのため、情報提供書を単に送るだけでは、他院との差別化は難しいでしょう。
だからこそ、FAXで送るだけでなく、「渡し方」と「書き方」を工夫することで、情報提供書はケアマネジャーとの信頼関係を築くための機会になります。それを通じてケアマネジャーに「頼れる専門職」と認識されれば、継続的な紹介につながる可能性が高まります。
ケアマネジャー連携の第一歩「渡し方」
【失敗】FAXだけでは関係が希薄に
事例紹介
A歯科医院では、情報提供書をケアマネジャーへFAXで送付していました。しかし、ケアマネジャーから連絡が来ることはなく、紹介にもつながりませんでした。
注意点
FAXや郵送でも算定要件は満たせますが、関係構築という点では効果が出にくいことが多いです。連携とは、一方的に情報を送ることではありません。ケアマネジャーに信頼される専門職として認識されるためには、顔の見える接点が必要です。
【成功】持参と一言で情報共有が進む
事例紹介
B歯科医院では、情報提供書を毎月ケアマネジャーの事業所へ持参するようにしました。
「今月は義歯の調整を行いました。施設スタッフさんとも連携を図りながら、引き続き様子をみています」と、このように一言添えたところ、「ご家族様も喜んでいて、大変助かっています」と感謝の言葉をいただくようになりました。こうしたやり取りを重ねるうちに信頼関係が育まれ、他の利用者様のご紹介へとつながりました。
成功のポイント
持参することで、顔が見える関係が生まれます。添えるひと言は「今月はこういう対応をしました。気になる点があればご連絡ください」で十分です。毎回の持参が難しければ、電話でひと言共有するだけでも状況は変わります。こうした小さな積み重ねが、ケアマネジャーに「頼れる専門職」と認識されることにつながります。
頼れる専門職になる「書き方」
【失敗】毎回同じ内容のリスク
事例紹介
C歯科医院の情報提供書には、毎回「口腔内の衛生状態は良好に保たれています」とだけ記載されており、患者様の状態変化や具体的な対応内容は記載されていませんでした。そのため、情報提供書を持参した際に、ケアマネジャーから「歯科衛生士さんが同行しているのであれば、もう少し詳しい内容を記載してほしい」とご要望をいただきました。
注意点
ケアマネジャーが知りたいのは「この患者様に今何が起きているか」「歯科的に気になることはあるか」という情報です。毎回同じ内容では、患者様に寄り添っていないという印象を与えるリスクがあります。
【成功】変化の記載で紹介につながる
事例紹介
D歯科医院では、情報提供書の書き方を見直しました。これまでの「口腔清掃保持のため訪問しています」という定型文を改め、訪問先での対応を具体的に記載するようにしました。例えば、「先月からの大きな変化はありませんが、口腔内が乾燥しやすいため、口腔ジェルの使用をおすすめしています」といった内容です。すると、「たまに入れ歯の痛みの訴えがあるのですが、それも関係していますか?」といった質問がケアマネジャーから届くようになりました。こうしたやり取りを通じて、ケアマネジャーの歯科に対する意識が変わり、他の利用者様のご紹介へとつながりました。
成功のポイント
ケアマネジャーが知りたいのは「この患者様に今何が起きているか」という情報です。別紙様式2の自由記述欄に、患者様の変化や他職種に伝えたい情報を記載することで、書類作成が形式的になるのを防げます。
たとえば「嚥下に気になる点がある」と記載すると、ケアマネジャーが他職種と連携を図る際に役立つ重要な情報になります。歯科の視点からまとめた情報が患者様のケアに役立つと、「この歯科医院の情報は信頼できる」と評価されます。その結果、継続的な紹介につながります。
まとめ:ケアマネジャーに信頼される歯科医院とは
ケアマネジャーが連携先を選ぶ際に重視するのは、「連絡が取れるか」「情報をきちんと共有してくれるか」「すぐに対応してもらえるか」といった点です。信頼関係は、日々の小さな積み重ねによって築かれます。
情報提供書の渡し方や書き方も、その積み重ねのひとつです。3回の連載を通じてお伝えしてきた、算定の損失を知り(第1回)、院内体制を整え(第2回)、ケアマネジャーとの信頼を築く(第3回)という流れは、すべてこの積み重ねにつながっています。本コラムが、訪問歯科診療を始める際の一助となれば幸いです。
次の一手を、一緒に考えませんか
「連載を読んで方向性は理解できたが、自院でどのように始めればよいかわからない」
「訪問歯科診療を始めるべきかどうか、客観的なアドバイスをもとに判断したい」
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