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訪問歯科診療 公開日:2025/07/23

【訪問歯科診療導入の始め方から成功までのロードマップ】ステップ2 成功のための設計図「事前計画」を徹底解説

【訪問歯科診療導入の始め方から成功までのロードマップ】ステップ2 成功のための設計図「事前計画」を徹底解説

こんにちは。デンタルサポート歯科事業部の髙尾です。

少子高齢化が進む現代、訪問歯科診療の需要は急速に高まっています。「患者様のために訪問歯科を始めたいが、何から手をつければよいかわからない」「本当に採算が取れるのか不安だ」といったご相談を多くの先生方からいただいています。

本連載【訪問歯科診療導入のはじめ方から成功までのロードマップ】では、デンタルサポートがこれまでに掲載した100本以上の訪問歯科診療に関するコラムの中から、ステップごとに役立つ内容を厳選してご紹介します。
第2回となる今回は、訪問歯科診療を成功に導くための「事前計画」に焦点を当て、目標設定から収益性や採算性の明確化までを具体的に解説します。

【最短3カ月】訪問歯科診療導入 4つのステップ

連載目次
  • ステップ1:市場調査 – 地域ニーズを徹底分析(公開日:2025月6月25日)
  • ステップ2:事前計画 – 成功への道標(本コラムで解説)
  • ステップ3:導入準備(第3回で解説)
  • ステップ4:訪問診療開始と運営改善(最終回で解説)

ステップ2: 事前計画 –訪問歯科診療成功のための設計図

ロードマップ:事前計画

事前計画は訪問歯科診療を成功させるための「設計図」です。綿密な計画を立てずに始めてしまうと、想定外の出費や人員不足など、さまざまな問題に直面するリスクがあります。
ここでは、成功のために押さえておきたい具体的な計画のポイントをご紹介します。

なぜ事前計画が重要なのか?

事前計画を立てずに訪問歯科診療を始めると、次のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 収益見通しの甘さや想定外の出費による経営悪化
  • 人員不足による現場の混乱

成功への4つの計画ステップ

➀明確な目標設定:なぜ訪問歯科をはじめるのか?

まず、訪問歯科診療を導入する目的を明確にしましょう。目的によって、準備の規模や人員体制、目標とする売上などが大きく異なります。

  • 通院困難になった既存患者様への診療継続:これまで通院されていた患者さんへのサービスを維持したい
  • 新たな収益源の確保:外来診療以外に安定した収入源を確保したい
  • 外来診療の減少を補う:外来患者数の減少分をカバーしたい
  • 地域医療への貢献やブランディングの強化:高齢者や障がいのある方々に医療サービスを提供したい、など
Point!
目的が明確になれば、目標や体制が自然と見えてきます。複数の目的がある場合は、優先順位を明確にしましょう。

■参考コラム

②収益性・採算性の検証:いつ黒字化できるか?

訪問歯科診療の導入前に、収益性やコスト構造を十分に検証し、運営リスクを抑えて安定した経営を目指します。

損益分岐点の把握:月に何件の訪問診療を行えば黒字化できるか(目標によって異なります)
診療報酬・介護報酬の理解:訪問歯科特有の算定ルール
コスト計算:人件費、機材費、移動費など

Point!
採算シミュレーションを事前に行い、「何をどれだけやればよいか」を可視化しましょう。診療報酬・コスト構造など複雑な部分は専門家のサポートを活用するのも有効です。

■参考コラム

③初期投資の最適化:最初に何が必要か?

導入時のコストは必要最低限からスタートし、事業拡大とともに段階的に機材を充実させるのがおすすめです。

  • 必須機材:切削器具、基本的な診療器具(外来の機材で代用できるものが多い)
  • あると効率的な機材:ポータブルユニット、超音波スケーラーなど
  • 段階的に導入すべき機材:ポータブルレントゲン、訪問専用車両など
Point!
訪問歯科診療には専用機材があると効率的ですが、外来用の機材で代用できる場合もあります。どのような診療サービスを提供するかによって必要な機材は異なるため、目標に応じて投資計画を立てることでコストを抑えることができます。

■参考コラム

④人員体制の構築:誰がどう動くか?

訪問歯科診療では、スタッフの配置や役割分担が効率運営のカギとなります。実施方法に合わせて最適な体制を整えましょう。

歯科医師:専任とするか、外来と兼任とするか、さらに単独で訪問するかどうかを検討します。
歯科衛生士:専任とするか、外来と兼任とするかを検討します。安全な診療や口腔ケアにおいて重要な役割を担います。
コーディネーター:機材準備や記録、施設などの関係者への関係構築に重要な役割を果たします。
受付・事務:専任とするか、外来と兼任とするかを検討します。主に予約管理や請求業務を担当します。

Point!
初期段階では既存スタッフに協力してもらい事業を始め、事業の拡大に合わせて専任スタッフの配置を検討するのが理想的です。

■参考コラム

実例で見る成功のポイント

小さく始めて着実に拡大していく

A歯科医院は、「通院が難しくなった既存患者様への継続的診療」を目的としてスタートしました。大きな投資は行わず、必要最小限の機材のみを導入してスタートしたのが特徴です。
週1日を訪問診療の日と定め、既存スタッフの勤務シフトを工夫して対応しました。

成功の秘訣

「小さく始めて、着実に拡大していく」という戦略が成功の秘訣です。
人員を無理に増やさなかったため、コストを抑えることができました。この堅実なアプローチにより、週1日の訪問診療でも、半年で月間6万点の売上を達成しています。
院長先生は「患者様への貢献と経営の安定、その両立を実現できた」と語っています。

戦略的に施設と連携する

一方、B歯科医院はすでに1つの施設で訪問診療を行っていましたが、「新たな収益源の確保」という明確な経営戦略のもと、訪問歯科診療の拡大を計画しました。
訪問診療の拡大に向けて、すでに訪問している施設との良好な関係を活かし、同じ系列の他の施設にも新たにアプローチを行いました。

成功の秘訣

「戦略的な施設連携」が重要なポイントとなっています。
施設との信頼関係や協力体制が評価され、新たに2つの施設を追加で訪問できるようになりました。 訪問する施設が増えたことで患者数が増加し、訪問のスケジュールもより計画的に立てられるようになり、デンタルサポートの支援が始まってから、3ヶ月で売上が2.5倍に増加しました。

まとめ

訪問歯科診療は、適切な事前計画を立てることで安定した収益源となり、患者様や地域社会への貢献にもつながります。「何から始めればよいかわからない」「採算が取れるか不安」といったお悩みを解消するためには、専門家によるサポートを活用することが効果的です。

デンタルサポートの訪問歯科導入サポート

当社デンタルサポートでは、25年以上にわたる訪問歯科診療支援の実績をもとに、歯科医院様の状況に合わせたオーダーメイドのサポートプランをご提供しています。

  • 目標設定コンサルティング
    貴院の現状分析から始め、地域特性や医院の強みを活かした最適な目標設定をサポートします。「何のために」「どこまで」訪問診療を展開するのか、明確なビジョンをともに描きます。
  • 収益シミュレーション
    地域別・施設タイプ別の詳細な収益予測を行い、黒字化までの具体的なプロセスを明確にします。これにより、投資判断や人員計画に確かな根拠を持つことができます。
  • 段階的投資プラン
    必要最小限の機材から導入できるよう、優先順位を明確にした計画をご提案します。無理にコストをかけることなく、収益状況に合わせて段階的に設備を拡充できます。
  • 人員体制構築サポート
    既存スタッフの活用を最大限に生かしつつ、必要に応じて採用計画まで一貫してサポートします。医院の状況に合わせて、無理のない人員体制づくりを支援します。

無料相談実施中!

訪問歯科診療の事前計画に関するご質問やご相談がございましたら、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。貴院の状況に合わせて、最適なプランをご提案いたします。

次回は「ステップ3:導入準備」について、設備や機材の選定、診療体制の構築、スタッフ教育まで詳しく解説します。


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