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訪問歯科診療 公開日:2025/02/12

その不安は解消できる!訪問歯科診療のはじめ方【業務負担に関する不安編】提供文書の種類と院内体制の整備について解説

その不安は解消できる!訪問歯科診療のはじめ方【業務負担に関する不安編】提供文書の種類と院内体制の整備について解説

こんにちは。デンタルサポート訪問サポート担当の野田です。
私は地方エリアでの現場サポートや訪問先営業など、訪問歯科診療の支援業務全般に携わっています。
訪問歯科診療に関するお悩みから問題点を分析し、課題解決のヒントをお伝えします。

筆者画像

当社の訪問歯科診療に対する意識調査の結果(※1)によると、約8割の歯科医師が訪問歯科診療の将来性を認識していることがわかりました。
しかし、訪問診療の実績のある歯科医院は、全国で約2割(※2)となっています。
では、訪問歯科診療を導入するうえで大きな障壁となるものとは一体なんなのでしょうか。
今回は訪問歯科診療の導入を阻む課題を深堀し、その解決策をシリーズで解説します。

この記事は、第3回「業務負担の増加に関する不安」についてです。

※1「訪問歯科診療に関する意識調査」レポートの無料ダウンロードはこちら
※2 歯科訪問診療料の算定があった医療機関は15,160施設であり、初診料等の算定がある医療機関約62,000施設の約24%。
出典:中医協 総-3 5. 10.27.在宅(その4).歯科訪問診療の実施状況.PDF(参照2024-11-25)

訪問歯科診療の導入を阻む5つの課題

以下は私が相談を受けた歯科医院から寄せられた「訪問歯科科診療に対する不安や課題」を大きく5つにまとめたものです。

【訪問歯科診療を導入時の不安と課題】

ここでは、訪問歯科診療に関する知識を基に業務負担に対する不安の解決策をお伝えします。

訪問歯科診療の業務負担に関する不安とは

訪問歯科診療の導入を検討する際、「他職種との連携や情報提供文書の作成などにより、作業負担が増加するのではないか」という不安をお持ちの先生も多いのではないでしょうか。
実際に、多くの歯科医院が訪問歯科診療を開始した際に、情報共有や連携不足による業務の煩雑さに直面しています。
例えば、

  • 外来診療中に訪問歯科診療の依頼の電話が入り、対応に追われる。
  • 患者様のご家族や介護施設、ケアマネジャーなど、関係者への連絡調整がスムーズにいかない。
  • 情報提供文書などの作成に時間がかかり、外来診療にも影響が出てしまう。

このような状況に陥ると、「訪問歯科診療は負担が大きい」と感じ、導入をためらってしまう先生もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらの課題は、少しの工夫と準備によって解決できるものがほとんどです。
そこで今回は、訪問歯科診療で必要な提供文書や院内の体制整備について解説します。

訪問歯科診療で必要な提供文書の種類

医療保険(診療報酬)の算定に必要な文書

医療保険(診療報酬)の算定に必要な書類は5種類あります。

①歯科訪問診療実績表

「歯科訪問診療料」の算定のための書類です。患者数や訪問回数、治療内容などを記載します。訪問先へ月1回提供。

②歯科疾患在宅療養管理料に係る管理計画書

在宅での歯科疾患管理に関する計画書で、「歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)」の算定に必要な書類です。患者毎に月1回提供。患者様への提供義務はありませんが、提供することで「文書提供加算(10点)」が加算できます。

③訪問歯科衛生指導内容説明書

「歯科衛生士による訪問歯科衛生指導料(訪衛指)」を算定するために必要な文書です。指導内容や実施方法、患者へのアドバイスなどが含まれます。患者毎に毎回提供。

④診療情報提供書

歯科医師から他の医療機関などに患者様の診療情報を提供するための書類で、診療履歴や検査結果を含みます。「診療情報提供料(Ⅰ)」「診療情報提供料(Ⅱ)」「連携強化診療情報提供料」のいずれかが算定できます。患者毎、情報提供時に提出。

⑤診療情報提供依頼書

歯科医師が他の医療機関に全身に関する診療情報の提供を依頼する際に必要になります。「診療情報連携共有料」が算定できます。患者毎、情報提供を求めるときに提出。

※④⑤は、患者様の診療情報を医科などと共有するために必要な書類となります。

訪問歯科診療:介護保険(介護報酬)の算定に必要な文書

歯科医院が算定できる介護保険の報酬は次の2つです。

  1. 居宅療養管理指導料(歯科医師)
  2. 居宅療養管理指導料(歯科衛生士)

居宅療養管理指導は、訪問先の患者様に対して歯科医師が行う医学管理上の指導、および歯科衛生士が行う口腔ケアなどに係る実施指導に対して算定ができます。
なお、介護保険を使用してこれらの報酬を算定した場合、一部の項目において医療保険での算定ができなくなるため、注意が必要です。

歯科訪問診療における介護保険算定について【今更 聞けない歯科訪問診療とは】

■居宅療養管理指導料について詳しくはこちら
歯科訪問診療における介護保険算定(居宅療養管理指導)について【今更 聞けない!歯科訪問診療とは?】

居宅療養管理指導の算定に必要な文書は6種類あります。

①居宅療養管理指導運営規程

居宅療養管理指導の運営規程を策定し、訪問診療の基準や運営方法を明文化した文書です。
医院内掲示が必要です。

②居宅療養管理指導重要事項説明書(居宅療養管理指導契約書)

サービス内容や料金、規約を明示した説明書です。患者様に説明の上、同意を得る必要があります。
医院内掲示と患者様への交付が必要です。

③個人情報の取り扱いについて

患者様の個人情報保護方針を示す文書です。個人情報の適切な管理・保護体制を整備する必要があります。患者様への交付が必要です。

④管理指導計画書

患者様ごとに治療目標や管理方法を記載した計画書です。定期的な見直しと更新が必要です。

⑤指定居宅介護支援事業所向け診療情報提供書(居宅療養管理指導・歯科医師)

「歯科医師による居宅療養管理指導」を算定する際、ケアマネジャーに交付する書類です。診療結果と治療方針を記載します。

⑥ 歯科衛生士による居宅療養管理指導に係る口腔の健康状態の評価・管理指導計画

「歯科衛生士による居宅療養管理指導」を算定する際、患者様やご家族に提供する文書です。歯科衛生士が行う口腔健康評価とケア計画を記載し、定期的な見直しと歯科医師との連携が重要です。

業務負担軽減の3つのポイント

訪問歯科診療は、外来診療よりも書類管理が多く、患者様に関わる方々も増えます。
これが多くの歯科医院がつまずく原因となっています。
そこで、スムーズな訪問歯科診療を実現するためには、院内体制の整備が重要です。
以下の3つのポイントを押さえましょう。

  1. 担当者を明確にする
    •  訪問歯科診療の依頼対応、関係者または関係機関との連絡調整など、それぞれの業務の担当者を決めましょう。
  2. 確認事項をリスト化する
    •   訪問歯科診療の依頼を受ける際に確認すべき項目をリスト化し、担当者がスムーズに対応できるようにしましょう。
  3. 情報共有を徹底する
    •  関係者または関係機関との連携や情報提供文書について、スタッフ全員が理解しておくことが重要です。

このようなルールを設定することで、業務の効率化が図れ、担当者以外の人々も状況を容易に把握できるため、情報共有と連携体制がスムーズに構築できます。
さらに、情報提供文書のテンプレートを利用したり、当社のようなサポート会社に業務の一部を委託したりするのも有効な手段です。

まとめ

今回は、訪問歯科診療の業務負担を軽減するにはどうすべきかについてお話ししました。
「提供文書が煩雑そうでよくわからない」「大変そうだから訪問歯科診療は依頼があってから検討しよう」と躊躇する歯科医院も多いようです。
また、訪問歯科診療を始めたが、さまざまな課題が生じて控えてしまう歯科医院も少なくありません。
しかし、これらの課題は、提供文書などへの理解や整理、歯科医院内のルールを構築することにより解決できます。

  • 提供文書の作成が不安…
  • どんな書類が必要なのかわからない…
  • 日々の業務に追われて、導入準備がなかなか進まない…

など、どんな些細なお悩みでもお気軽にご相談ください。
各提供文書の提出タイミングや書類のポイントなど、当社の専任スタッフがご説明します。
さらに、歯科医院のルール策定を含む導入支援も行っています。

次回の記事は、第4回 その不安は解消できる!訪問歯科診療のはじめ方 費用に関する不安(2025年3月12日公開予定)です。

当社では、市場調査から導入支援、集患支援まで、幅広いプランをご用意しております。
歯科医院の状況に合わせた最適な提案をさせていただきますので、まずは無料相談からお気軽にご相談ください。

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