【令和6年度（2024年）改定版】訪問歯科診療算定のポイント

※この情報は、令和6年度（2024年）診療報酬・介護報酬の改定に対応した最新のものです（2025年1月8日時点）。

こんにちは。デンタルサポート歯科事業部の髙尾です。
今回のコラムは、訪問歯科診療に新規参入する歯科医院からよくご相談いただく、「訪問歯科の算定方法（令和6年度診療報酬改定対応）」についてです。

訪問歯科診療の保険請求

訪問歯科診療は、医療保険と介護保険で報酬を請求することができます。
しかし、訪問歯科診療の保険請求はルールが細かいうえ、例外規定も多く、理解しにくい部分があります。

そこで今回は、主な医療保険・介護保険の算定項目について、「訪問患者数」「訪問先」「診療時間」に焦点を当てて説明します。

訪問診療の患者の数え方

訪問歯科診療は下記の表のとおり、算定項目によって患者の数え方が変わり、算定点数・単位が変わるため注意が必要です。

■訪問患者の数え方

同一建物診療患者	歯科訪問診療料
単一建物診療患者	訪問歯科衛生指導料 歯科医師居宅療養管理指導 歯科衛生士等居宅療養管理指導

同一建物診療患者数とは

「同一日に同一建物（施設など）で何人の患者の診療を行ったか」 診療日の訪問先（建物）ごとの患者人数で算定します。

単一建物診療患者数とは

「同一月に同一建物（施設など）で何人の患者の診療を行ったか」 診療月の訪問先（建物）ごとの実患者人数で算定します。

「診療報酬」算定のポイント　

訪問歯科診療の診療報酬には、大きな算定項目が2つあります。

1. 歯科訪問診療料
2. 訪問歯科衛生指導料（訪衛指）

歯科訪問診療料

1. 必要な届出
   • 　歯科診療所（病院は含まない）が歯科訪問診療料を算定するためには、下記の届出が必要になります。
     • 　・「特掲診療料の施設基準に係る届出書」施設基準の届出
     • 　・「歯科訪問診療料の注 １５に規定する基準の施設基準に係る届出書添付書類」の届出
2. 同一建物診療患者数で算定（診療日の訪問先（建物）ごとの患者人数）
3. 1人に対して診療時間は何分なのか（20分未満・または20分以上）
   • 　　※令和6年度（2024年）歯科診療報酬改定において、歯科訪問診療料1の20分ルールが廃止されています。

■歯科訪問診療料の算定点数

算定項目	同一の建物に居住する患者数	20分以上の点数	20分未満の点数
歯科訪問診療1	1人	1,100点	1,100点
歯科訪問診療2	2～3人	410点	287点
歯科訪問診療3	4～9人	310点	217点
歯科訪問診療4	10～19人	160点	96点
歯科訪問診療5	20人以上	95点	57点

---

訪問歯科衛生指導

1. 単一建物診療患者数で算定（同一月の計画に基づく、その月の合計患者数）
2. 〔1人の歯科衛生士〕が〔1人の患者〕に対し、20分以上実施した場合は、月4回まで算定可能（例外あり）
   • 　※20分未満の場合は算定できません。
3. 自宅または居宅系施設では算定できない（介護保険が優先されるため）

■訪問歯科衛生指導料の算定点数

訪問歯科衛生指導料（20分以上が必要）	単一建物診療患者数	点数
訪問歯科衛生指導料1	1人	362点
訪問歯科衛生指導料2	2～9人	326点
訪問歯科衛生指導料3	１及び２以外の場合	295点

---

診療時間に含めない時間

診療録とレセプトに診療の開始と終了の時刻を記載する必要があります。
その際、下記は診療時間に含まれません。

• 訪問施設への移動時間
• 患者の移動や誘導の時間
• 診療の準備時間
• 片付け時間

なお、歯科訪問診療料を算定する際、訪問歯科衛生指導を実施した時間を合算し、20分以上とすることはできません。

「介護保険」算定のポイント

訪問歯科診療では、自宅または居宅系施設に居住する患者に対し、介護保険の「居宅療養管理指導」を算定する場合があります。
歯科医院が居宅療養管理指導で算定できる項目は主に以下の2つです。

1. 歯科医師居宅療養管理指導
2. 歯科衛生士等居宅療養管理指導

歯科医師居宅療養管理指導

• 単一建物診療患者数で算定（同一月の計画に基づく、その月の合計患者数）
• 歯科医師が患者を訪問し、患者やその家族に対して指導及び助言を行った場合、月2回まで算定可能
• ケアマネジャーに対し、情報提供書を提出する必要がある
• 施設（居宅系施設を除く）に居住する患者に対して算定できない

■歯科医師居宅療養管理指導の単位

歯科医師居宅療養管理指導（月2回まで）	単一建物診療患者数	単位
歯科医師居宅療養管理指導Ⅰ	1人	517単位
歯科医師居宅療養管理指導Ⅱ	2～9人	487単位
歯科医師居宅療養管理指導Ⅲ	10人以上	441単位

歯科衛生士等居宅療養管理指導

• 単一建物診療患者数で算定（同一月の計画に基づく、その月の合計患者数）
• 〔1人の歯科衛生士〕が〔1人の患者〕に対し、20分以上実施した場合は、月4回まで算定可能（例外あり）
  • 　※20分未満の場合は算定できません。
  • 　※指導の開始・終了時刻を実施記録に記載します。
• 施設（居宅系施設を除く）に居住する患者様に対して算定できない

■歯科衛生士等居宅療養管理指導の単位

歯科衛生士等居宅療養管理指導（月4回まで）	単一建物診療患者数	単位
歯科衛生士等居宅療養管理指導Ⅰ	1人	362単位
歯科衛生士等居宅療養管理指導Ⅱ	2～9人	326単位
歯科衛生士等居宅療養管理指導Ⅲ	10人以上	295単位

まとめ

今回は、訪問歯科診療算定の押さえておきたい「訪問患者数」「訪問先」「診療時間」のポイントを説明しました。
算定方法について確認したい、もっと詳しく聞きたいなどのご要望があれば、お気軽にお問い合わせください。

• 訪問歯科診療サポートはこちら
  
  　・集患につながる介護事業所への広報サポート
  
  　・現場で診療のみに集中できる現場サポート
  
  　・訪問歯科診療を行うかの判断材料に使用できる近隣の市場調査
  
• 採用サポートはこちら
  
• 事務代行・行政サポートはこちら