【訪問歯科診療】訪問前に決めておきたい、業務を円滑にする院内ルールとは

こんにちは。
デンタルサポート歯科事業部の丹澤です。

以前のコラムでは、歯科訪問診療を始める前に必要な「施設基準の届出」「診療機材準備・介護請求」について、お話をさせていただきました。
今回は訪問する前に決めておきたい院内ルール5つについてお話します。
前述の「施設基準の届出」「診療機材準備・介護請求」とともに準備していただければ、いつからでも訪問歯科診療が可能となります。
ぜひ、最後までご覧ください。

事前に決めておくべき院内ルールとは？

訪問歯科診療は、外来と異なる業務が多いことが導入に踏み切れない理由の一つとなっています。
ここでは、訪問歯科診療を始める前に決めておきたい5つの項目と円滑に進めるためのノウハウをお伝えします。

1. 対応患者の選別
2. 訪問日程の設定
3. 人員体制
4. 治療内容の差別化
5. 会計方法

対応患者の選別

通院困難な事由は確認していますか？

歯科訪問診療の対象患者は「在宅等において療養を行っており、疾病、傷病のため通院による歯科治療が困難な患者」とされており、通院が容易な者に対して安易に算定ができません。

そのため、必ず受付の際に通院困難な事由を確認してください。
現病歴や既往歴、他科受診の有無から判断されることも多く、確認事項を記載した受付表などを用意するとよいでしょう。

対応患者か否かの判断は、院長や理事長など医院責任者が行います。

訪問日程の設定

いつ訪問対応ができますか？

• 外来休診日に対応する
• 外来診療の合間（昼休みなど）に対応する
• いつでも対応可能にする　など

人員や売上の確保、広報活動などの経営面も考慮し、医院にあった日程を決定しましょう。

なお、訪問歯科診療の対象患者の多くは、他の訪問医療や介護サービスを受けており、医院と患者様がお互いにスケジュールを調整する必要があります。
したがって、事前に「いつ訪問対応ができるのか」を患者様やご家族、またはケアマネージャーや施設担当者へ周知しておくとスムーズです。

施設やケアマネージャーへの対応例

歯科訪問診療用のパンフレット（対応可能日などを記載）を用意しましょう。
施設やケアマネージャーに配布することで、紹介につながりやすくなります。

人員体制

どなたが何人で対応しますか？

訪問する歯科医師は院長なのか、それとも勤務医なのか。
また、歯科医師単独なのか、それとも歯科衛生士や歯科助手を帯同させ、2名以上のチームで診療するのかを決めましょう。

訪問歯科診療の患者様の多くは有病者です。
中には意思疎通が難しい方や診療時に暴れてしまう方もいらっしゃいます。
高齢者医療の知識や経験がないスタッフの場合、不安に思うことも多く、退職につながることがあります。
対応策として、事前に研修を行うことや2名以上で行うことをおすすめします。

患者様・ご家族への対応例

訪問の際は、事前に人員体制を伝えておきましょう。
療養場所（生活場所）に伺うため「どんな先生が来るのか」「何人で来るのか」「男性・女性」など、気にする患者様やご家族も多いので、先に連絡しておくと患者様の安心感にもつながります。

治療内容の差別化

どのような治療に力を入れていますか？

• 外来と同様の診療をしている
• 口腔ケアがメインで簡単な治療のみ行っている
• 摂食嚥下に特化している　など

訪問歯科を行っている医院でも上記のように治療内容はさまざまです。

「どのような治療ができるのか」だけではなく「医院としてどのような治療に力を入れているのか」をアピールできれば、他歯科医院との差別化ができるでしょう。

会計方法

どのような対応をしていますか？

訪問診療の場合、診療現場でのカルテ入力や会計が難しく、月末締めでの一括請求が一般的とされています。

【支払方法の例】

• 口座振込
• 口座振替
• 集金
• 窓口会計　など

領収書発行・送付や入金確認など付随する業務もありますので「誰が」「何を」「いつまでに」「どうするのか」を決めておくことをおすすめします。

対応例

特に会計においては、患者様と支払人が異なることも多く、配慮が必要です。 「請求の日付と訪問した日が違う」「名前や住所が違う」「費用が高い」などはクレームになることが多く、患者様の損失につながる恐れがあります。
そこで、責任者を明確にし、対応マニュアルを作成することをおすすめします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は歯科訪問診療の院内ルールについてお話しました。

訪問歯科診療は外来診療とは異なる業務が多く、敬遠されがちですが、今回ご紹介した5つのルールを決めておくことで、業務を円滑に進めることができ、安定した運営につながります。
これから歯科訪問診療を始めようとしている、または、すでに始めている医院においても、ぜひ参考になさってください。

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