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訪問歯科診療 公開日:2024/12/04

その不安は解消できる!訪問歯科診療のはじめ方 人員不足解消編 

その不安は解消できる!訪問歯科診療のはじめ方 人員不足解消編 

こんにちは。デンタルサポート訪問サポート担当の野田です。
私は地方エリアでの現場サポートや訪問先営業など、訪問歯科診療の支援業務全般に携わっています。
訪問歯科診療に関するお悩みから問題点を分析し、課題解決のヒントをお伝えします。

筆者画像

当社の訪問歯科診療に対する意識調査の結果(※1)によると、約8割の歯科医師が訪問歯科診療の将来性を認識していることがわかりました。
しかし、訪問診療の実績のある歯科医院は、全国で約2割(※2)となっています。
では、訪問歯科診療を導入するうえで大きな障壁となるものとは一体なんなのでしょうか。
今回は訪問歯科診療の導入を阻む課題を深堀し、その解決策をシリーズで解説します。
この記事は、第1回「訪問歯科診療の人員不足」についてです。

※1「訪問歯科診療に関する意識調査」レポートの無料ダウンロードはこちら

※2 歯科訪問診療料の算定があった医療機関は15,160施設であり、初診料等の算定がある医療機関約62,000施設の約24%。
出典:中医協 総-3 5. 10.27.在宅(その4).歯科訪問診療の実施状況.PDF(参照2024-11-25)

訪問歯科診療の導入を阻む5つの課題

以下は私が相談を受けた歯科医院から寄せられた「訪問歯科科診療に対する不安や課題」を大きく5つにまとめたものです。

【訪問歯科診療を導入時の不安と課題】

この記事では、人員不足について、課題と成功事例を解説します。

訪問歯科診療の人員不足の解決策とは

人員不足は多くの歯科医院が抱えている問題ではないでしょうか。
訪問歯科診療のスタッフの増員以前に、外来スタッフの補充もできていないといったお悩みの相談をいただくことも多いです。
ここでは、特に採用が難しい歯科衛生士について説明します。

歯科衛生士を取り巻く環境の変化

まずは、歯科衛生士を取り巻く環境の変化を理解しましょう。

歯科衛生士の求人倍率

一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会の「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」によると、令和4年度の有効求人倍率は20.7倍と「超売り手市場」であることがわかります。
これは、1人の歯科衛生士を21件の歯科医院で取り合うような状況です。

出典:一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会.「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」.令和6年6月.PDF(参照2024-11-25)

就業状況

日本の歯科衛生士免許保有者は約30万人ですが、半数の15万人が現在歯科衛生士の仕事に就いていない「離職中の歯科衛生士」です。
そのため、歯科衛生士の人員不足解消するためのライフステージに合わせた働き方が課題となっています。

Dキャリア

当社の歯科衛生士応援サイト「Dキャリアプラス」では、歯科衛生士の復職支援も行っています。

歯科ニーズの変化

歯科業界は過去数十年にわたり大きな変化を遂げており、これからもその変化は続くと予想されます。
特に、子供のう蝕の減少や高齢者の8020達成率の向上など、歯科疾患の傾向が変わってきています。
これに伴い、歯科診療科目のニーズも変化しており、今後は「審美歯科」と「訪問歯科」のニーズが高まると見られています。
これらの分野は、健常者の審美的ニーズと高齢者の口腔機能回復ニーズに応えるものであり、歯科衛生士にとっても新たなキャリアパスとなり得ます

歯科衛生士から見た働き方の課題

歯科衛生士の99%が女性であり、多くの方が結婚・育児・介護といったライフステージに応じた柔軟な働き方を求めています。
例えば、子育て中の歯科衛生士は以下のような理由で、従来の勤務体系が合わないと感じることがあります。

  • 「遅い時間まで働きたくない」
    子どもの迎えや家事、育児の時間確保が必要と考えるため。
  • 「急な欠勤に対応してくれる職場がいい」
    子供の急な病気などで欠勤する場合、周囲に負担がかかる状況を避けたい。

このように、歯科衛生士が求める条件と歯科医院の条件が合わない場合、退職や採用辞退につながることがあります。

訪問歯科で働く歯科衛生士のメリットとは

前述の課題を解決し、訪問歯科で働くメリットを示すことで、人員の確保が期待できます。

◎メリット1 終業時間が早い

介護施設や居宅(個人宅)に訪問する時間帯は、患者様の生活リズムに配慮し、朝食後から昼食まで、昼食後から夕食までの間が多くなります。
19時ごろまでに終業できるようスケジュールを組んでいる歯科医院も多く、歯科衛生士が働きたい時間帯と合致していることがわかります。

◎メリット2 時短勤務や家庭都合によるお休みの交渉がしやすい

外来と訪問を兼務できる歯科衛生士を育成することで、柔軟な調整が可能になります。

◎メリット3 ブランクがあっても復帰しやすい

訪問歯科診療では、虫歯治療、歯周病治療、義歯作成(調整)などの基本的な治療と口腔ケアを行います。
一般歯科で働いた経験があれば、ブランクがあっても復帰しやすいでしょう。

人員不足で訪問診療に踏み出せていない歯科医院には、働き方の選択肢を広げ、訪問歯科診療の歯科衛生士として働くメリットをアピールして募集をかけてみることをお勧めします。

人員確保に成功した歯科医院の取り組み

ここでは、訪問歯科診療を実施している歯科医院が人員不足を解消した事例を紹介します。
歯科衛生士が働きやすい体制を整えることでスタッフの定着率も高くなり、経営の安定にもつながります。

事例1 無理のない働き方が選べる勤務体系の構築

1日4時間~・午前中のみ・週1日~など、勤務時間や日数を調整できる勤務体系を構築している。

事例2 出産後の復帰サポート

産休・育休・育児短時間制度を設け、子育て中でも働きやすい環境を整え、サポートしている。

事例3 フレキシブルな訪問メンバーの構成

訪問メンバーは、歯科医師1名、帯同する歯科衛生士2名の3人体制にしている。

【歯科衛生士を2人にするメリット】

  1. 1人は歯科医師をサポート、もう1人は単独で口腔ケアを行なうなど、効率的に診療することができる。
  2. 1人が休んだ場合でも、歯科医師のサポート役は確保できるため診療に支障は少ない。
    したがって、家庭都合による休みや急な休みにも対応できる。

    まとめ

    今回は「その不安は解消できる訪問歯科診療のはじめ方 人員不足編」を紹介しました。
    訪問歯科診療において、歯科衛生士の需要が高まっていますが、雇用条件が合わずに採用に至らないケースが多く見受けられます。
    なぜなら、結婚・出産・介護といったライフステージに合わせた柔軟な勤務体系を構築することが求められているからです。
    しかし、それは訪問歯科で働くメリットを伝え、選択肢を増やすことで、人材確保につながるのではないでしょうか。

    デンタルサポートの採用サポートでは、応募獲得につながる採用インフラの整備から、適切な面接方法の助言、内定後のフォローまで行っています。お気軽にお問い合わせください。

    次回の記事は、第2回 その不安は解消できる 訪問歯科診療のはじめ方 収益に関する不安編(2025年1月15日公開予定)です。

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