Column

訪問歯科診療 公開日:2024/09/04

歯科衛生士が活躍する訪問歯科衛生指導料【今更 聞けない!歯科訪問診療とは?】

歯科衛生士が活躍する訪問歯科衛生指導料【今更 聞けない!歯科訪問診療とは?】

こんにちは。デンタルサポート歯科事業部の丹澤です。
8月より、煩雑なルールが多い歯科訪問診療についてざっくりまとめた「今さら聞けない!歯科訪問診療」をシリーズでお伝えしています。
第2回目となる今回は「訪問歯科衛生指導料」についてです。
訪問歯科診療の導入を検討されている先生のご参考になれば幸いです。

前回のコラムはこちら
今更 聞けない⁈歯科訪問診療とは? 基本となる歯科訪問診療料を説明(公開日:2024年8月7日)

訪問歯科衛生指導料とは

ここでは「訪問歯科衛生指導料」を算定するための条件や内容について解説していきます。

算定点数

訪問歯科衛生指導料の点数

算定の実施時間と上限回数

1 歯科訪問診療を行った歯科医師の指示に基づき、歯科衛生士、保健師、看護師又は准看護師が訪問して療養上必要な指導として、単一建物診療患者又はその家族等に対して、当該患者の口腔内の清掃(機械的歯面清掃を含む。)、有床義歯の清掃指導又は口腔機能の回復若しくは維持に関する実地指導を行い指導時間が20分以上であった場合は、患者1人につき、月4回に限り算定する。なお、当該歯科衛生指導で実施した指導内容等については、当該患者又はその家族等に対し文書により提供する。

■訪問歯科衛生指導料は、歯科医師が立てた歯科訪問診療の計画に基づいて、歯科衛生士などが患者またはその家族などに対して、口腔清掃や口腔機能の回復・維持に関する実地指導を20分以上行った場合、患者1人につき月4回まで算定できます。
※実地指導の時間には、指導のための準備や患者様の移動に要した時間などは含まれないので注意してください。

患者またはその家族へ以下の内容を記載した文書を提供する必要があります。
そのうえで、文書の写しを診療録に添付してください。

  • 実施した指導内容
  • 指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)
  • その他、療養上必要な事項に関する情報
  • 実地指導を行った歯科衛生士などの氏名(複数名歯科衛生指導加算を算定する場合は、同行した全ての歯科衛生士などの氏名)

緩和ケアを受ける患者の上限回数と複数名訪問歯科衛生指導加算

2 歯科訪問診療料を算定した患者であって緩和ケアを実施するものに対して行った場合には、「1」の規定にかかわらず、月8回に限り算定する。
3 訪問歯科衛生指導が困難な者等に対して、保険医療機関の歯科衛生士等が、当該保険医療機関の他の歯科衛生士等と同時に訪問歯科衛生指導を行うことについて、当該患者又はその家族等の同意を得て、訪問歯科衛生指導を実施した場合(歯科訪問診療料を算定する日を除く。)には、複数名訪問歯科衛生指導加算として、150点を所定点数に加算する。

緩和ケアを実施する患者様に対して、歯科衛生士などが療養上必要な実地指導を行った場合は、訪問歯科衛生指導料を患者1人につき月8回まで算定できます。

■複数名歯科衛生指導加算が算定できる条件
次に掲げる状態またはこれらに準ずる状態である患者に対して、訪問歯科衛生指導を行う場合

イ 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態
ロ 知的発達障害等により開口保持ができない状態や療養上必要な実地指導の目的が理解できず治療に協力が得られない状態
ハ 重症の呼吸器疾患等で頻繁に実地指導の中断が必要な状態
ニ 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ実地指導に際して家族等の援助を必要とする状態
ホ 人工呼吸器を使用している状態又は気管切開等を行っており実地指導に際して管理が必要な状態
へ 強度行動障害の状態であって、日常生活に支障を来すような症状・行動が頻繁に見られ、実地指導に協力が得られない状態
ト 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる者
チ 利用者の身体的理由により1人の歯科衛生士等による実地指導が困難と認められる者
リ その他利用者の状況等から判断して、イからチまでのいずれかに準ずると認められる者

歯科衛生士のみの訪問でも算定できる

2 訪問歯科衛生指導料は、同一初診期間中に歯科訪問診療料を算定した患者等に対して、歯科訪問診療料を算定した日から起算して1月以内(ただし、歯科訪問診療を行う歯科医師により、状態が安定していると判断される場合は2月以内でも差し支えない。)において、当該患者に係る歯科訪問診療を行った歯科医師の指示を受けた当該保険医療機関に勤務(常勤又は非常勤)する歯科衛生士等が、療養上必要な実地指導を行った場合に算定し、単なる日常的口腔清掃等のみを行った場合は算定できない。

歯科訪問診療料を算定した日から起算して1月以内であれば、歯科衛生士のみの訪問でも訪問歯科衛生指導料を算定することができます。
また、状態が安定していると歯科医師が判断された場合は2月以内でも問題はありません。

単一建物診療患者数

3 訪問歯科衛生指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関の定める歯科訪問診療の計画に基づいて訪問歯科衛生指導を行い、同一月に訪問歯科衛生指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。)の人数をいう。
なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、病院については、それぞれの病棟において、訪問歯科衛生指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。また、1つの患家に訪問歯科衛生指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において訪問歯科衛生指導を行う患者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、訪問歯科衛生指導を行う患者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定すること。

訪問歯科衛生指導料は「単一建物診療患者」の人数に従い算定します。
単一建物診療患者は、同一月において、同じ建物内での患者数によって算定します。

訪問歯科衛生指導料の単一建物診療患者の人数の考え方

訪問歯科衛生指導料 ざっくり要点

  • 訪問歯科衛生指導料とは、歯科訪問診療の計画に基づいたものである
  • 患者またはその家族などに対して口腔清掃、口腔機能の回復や維持に関する実地指導を20分以上行った場合、月4回まで算定できる(緩和ケアを実施する患者の場合は月8回まで)
  • 患者またはその家族に対し、実施した指導内容や実施時刻、その他療養上必要な事項に関する情報、指導を行った歯科衛生士の氏名などを記載した文書の提供が必要である
  • 歯科訪問診療料を算定した日から起算して1月以内(状態が安定していれば2月以内)であれば、歯科衛生士のみの訪問でも歯科衛生指導料を算定できる
  • 訪問歯科衛生指導料は「単一建物診療患者」の人数に従い算定する

まとめ

今回は、訪問歯科衛生指導料についてお伝えしました。
歯科訪問診療では、歯科治療だけではなく、口腔衛生の管理や口腔機能の回復・維持が求められています。
そのため、口腔衛生管理のプロである歯科衛生士の必要性がますます高くなっているといえるでしょう。

次回は、「歯科疾患在宅療養管理料」についてお話します。(2024年10月2日公開予定)

私たちデンタルサポートは、訪問歯科診療を始めて25年、多くの事例から学んだノウハウがあります。今回のお話は、歯科訪問診療導入時の勉強会でもお伝えしている内容です。
また、訪問を始めたい歯科衛生士へ向けた口腔ケアセミナーも開催しています。
もっと詳しく知りたいなどのご要望があれば、お気軽に無料相談へお申込みください。

  • 訪問歯科診療サポートはこちら
  • 採用サポートサービスについてはこちら
訪問歯科診療Instagram

歯科医院経営でお悩みの方は、お気軽にお問合せください。

受付時間:月曜日~土曜日 午前9時~午後8時

訪問歯科診療サポートのパイオニアであるデンタルサポートが発行する、歯科医院経営者のためのメールマガジンです。
訪問歯科診療サポート現場における成功事例や、業界最新情報を配信いたします。ぜひご登録ください。

無料相談はこちら