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訪問歯科診療 公開日:2024/03/20

2024年度の介護報酬改定は歯科訪問診療の集患のチャンスです【介護事業所との連携強化がカギ!】

2024年度の介護報酬改定は歯科訪問診療の集患のチャンスです【介護事業所との連携強化がカギ!】

こんにちは。デンタルサポート歯科事業部の丹澤です。
皆さまの医院では、2024年度の医療・介護・障害福祉サービス等の改定ついて、内容の把握とその対策はできていらっしゃいますでしょうか。
当社には、一部の訪問歯科診療実施の医院から「施設での歯科訪問診療料が下がる(多人数の場合)にもかかわらず、協力しなければならないことが増えて負担に感じる」といったご相談をいただいています。
そこで、今回は介護報酬改定における歯科診療所の役割と介護事業所との連携についてお話します。

歯科訪問診療料改定から考える今後の経営戦略

歯科訪問診療料の改定についてはこちら
「歯科訪問診療料改定から考える」今後の経営戦略

2024年度報酬改定 注目ポイント

2024年度の報酬改定では多職種との連携強化が盛り込まれています。
ここでは、歯科医師や歯科衛生士の協力が必要不可欠な口腔衛生の管理体制の整備や誤嚥性肺炎の予防について解説します。

口腔連携強化加算の新設

今回の介護報酬の改定において、口腔連携強化加算が新設されます。

新設理由】
歯科専門職による口腔管理が在宅で十分に行われていない現状を改善したい考えです。

【高齢者の歯科治療の現状】
高齢者は歯科治療や口腔健康管理が必要である者に対しても、治療が行われていない。特に在宅療養者は、治療が行われていない割合が多い。

引用元:厚労省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第232回)参考資料5 P.9-10.(参照2024-03-18)

口腔連携強化加算

口腔連携強化加算 50単位/回

【告示】
「訪問系サービス及び短期入所系サービスにおいて、職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、事業所と歯科専門職の連携の下、介護職員等による口腔衛生状態及び口腔機能の評価の実施並びに利用者の同意の下の歯科医療機関及び介護支援専門員への情報提供を評価する新たな加算を設ける。」

※訪問系サービス及び短期入所系サービスとは

  • 訪問介護
  • 訪問看護★
  • 訪問リハビリテーション★
  • 短期入所生活介護★
  • 短期入所療養介護★
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看
  • ※★予防も含む

【算定要件等】
・上記事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施した場合において、利用者の同意を得て、歯科医療機関及び介護支援専門員に対し、当該評価の結果を情報提供した場合に、1月に1回に限り所定単位数を加算する。

・事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。

口腔連携強化加算における歯科診療所の役割

口腔連携強化加算は、訪問系サービス及び短期入所系サービス事業者が算定するものであり、歯科診療所は算定できません。

歯科診療所の口腔連携強化加算の協力とは

上項の内容を歯科診療所の立場から簡単に説明すると、

  1. 訪問歯科診療の実績がある歯科診療所は、各介護事業所からの依頼を受け、職員(以下:介護職員)が相談できる体制を確保しなければならない。
    その内容を文書などで取り決める必要がある。
  2. 歯科診療所(1に該当する)は、各介護職員が利用者の口腔内を評価するにあたって、相談を受けなければならない(専門的なアドバイスを含む)。
  3. 歯科診療所(及びケアマネジャー)は、介護事業所の職員から情報提供を受けることができ、それを診療につなげることができる

このように、口腔連携強化加算とは訪問系サービス及び短期入所系サービスと歯科診療所との口腔管理に係る連携の強化を図るものであるため、協力は必須となります。
加算協力は直接的な売り上げにはなりませんが、各事業所と連携することで、今まで認知されていなかった訪問対象患者を可視化でき、治療につなげることができるのです。
したがって、集患のためにも、口腔連携強化加算に積極的に協力することをおすすめします。

居宅療養管理指導の点数改定

国は医療費の抑制のため、在宅診療を推進しています。
今回の改定ではわずかではありますが、歯科医師及び歯科衛生士による居宅療養管理指導料がアップしています。
表組を記載しますので参考になさってください。

※出典:厚生労働省 第239回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料.(参照2024-03-18)

居宅療養管理指導料

介護支援専門員(ケアマネジャー)法定研修の見直し

2024年4月以降の介護支援専門員(以下:ケアマネジャー)法定研修には「適切なケアマネジメントの手法」が取り入れられることになりました。
見直しの理由として、利用者の多様化・複雑化への対応やケアマネジャーの資質向上のため、加えて介護保険制度や介護報酬の改定があることなどが挙げられます。

「適切なケアマネジメントの手法」とは

「適切なケアマネジメント手法」とは、ケアマネジャーごとのケアマネジメントの質のばらつきを改善し、利用者が必要とするケアマネジメントを一定以上の水準で提供することを目的とした手法です。
「基本ケア」と疾患に応じた検討視点を盛り込んだ「疾患別ケア」の2段階で構成されています。
対象疾患は脳血管疾患・大腿骨頸部骨折・心疾患・認知症・誤嚥性肺炎の予防の5つです。

出典: 株式会社日本総合研究所.令和2年度厚生労働省老人保健事業推進費補助金(老人保健健康増進等事業) 適切なケアマネジメント手法の普及促進に向けた調査研究事業 .「適切なケアマネジメント手法」の手引き .2023-03.(参照2024-03-18)

見直しにより、歯科に関わる項目として、誤嚥性肺炎の予防が追加されます。

【誤嚥性肺炎が疾患別ケアに選定された理由
・誤嚥性肺炎は対象となる高齢者が多い
・入院リスクや重症化した場合の死亡リスクが高い
・医療的アプローチだけではなく、日常的な生活や健康管理、セルフケアの領域における発症予防・再発予防の対応も重要である

出典:厚生労働省.介護支援専門員資質向上事業介護支援専門員資質向上ガイドライン(令和5年4月版)厚生労働省ホームページ.2024-04.(参照2024-03-18)

誤嚥性肺炎の予防の追加

上記の内容から、ケアマネジャーは、誤嚥性肺炎の特徴を理解し、さらに、予防のために利用者ごとに摂食嚥下機能の低下、口腔の衛生状態の低下、フレイルの進行などリスクを踏まえた支援に取り組まなければなりません。
そのため、口腔衛生の専門家である歯科医師や歯科衛生士との協力が重要になります。
歯科診療所が、ケアマネジャーをサポートし信頼関係を築くことができれば、おのずと患者様の紹介につなげることができるでしょう。

まとめ

今回の口腔連携強化加算やケアマネジャーによる誤嚥性肺炎の予防については、歯科診療所の売り上げに直接関わる内容ではありません。
しかし、多職種連携や地域包括ケアは超高齢社会の課題であり、訪問診療を実施する歯科診療所においては、取り組まなければならないものです。

「地域医療・介護に貢献したい」「これから訪問診療を始めたい」「患者を増やしたい」などとお考えの歯科診療所においては重要な改定となりますので、ぜひ連携強化に努めていきましょう。

デンタルサポートでは、訪問歯科診療の導入から拡充、安定した売上確保へ向けてのノウハウを多く持っております。
ぜひ、この機会に訪問歯科診療を始めてみませんか。

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