Column
コラム
こんにちは、デンタルサポートの木下です。
訪問歯科診療サポート業務に携わって22年。
北海道・東北・関東・関西・九州で訪問歯科サポート業務を行い、累計4,200回以上の現場経験から感じたことをご紹介したいと思います。
今回は、日々の訪問歯科診療でのヒヤリハット事例を紹介します。
事例とその対策を知ることによって、医療事故やクレーム防止につながれば幸いです。
目次
「ヒヤリハット」という言葉を聞いたことはありますか。
重大な災害や事故につながる一歩手前の事象のことで、思いがけない出来事に「ヒヤリ」としたり「ハッとする(ハット)」したりすることが名前の由来です。
訪問歯科診療の現場でも、この「ヒヤリハット」が起きることがあります。
ここでは実際に起こったヒヤリハット事例とその対策をお伝えします。
施設訪問時に看護室で新規患者様の申し込みをいただいた。
患者様は食堂でテレビ鑑賞中だったため、訪問スタッフが迎えに行った。
お顔が分からなかったため、施設職員に「〇〇様いらっしゃいますか」と尋ねて教えていただいた。
診察場所までお連れしようとしたところ、上履きに「〇〇一郎」と書いてあったため、同姓の別人だと発覚した。
この事例は、患者様のフルネーム(姓名)の確認を怠ったため生じました。
患者の取り違えは重大な医療ミスに発展します。
歯科医院や施設職員全体で、患者誤認・取り違えを防ぐ対策に取り組み、安全を高めることが求められます。
患者確認方法をマニュアルで定め、必ず守りましょう。
◆認知症の患者様に対して
認知症の患者様は、間違えて呼ばれていても気づかず返事をしたり、うなずいたりすることがあるため、施設職員に確認するなど注意が必要です。
車いすを押して診察場所まで誘導中、患者様の体が車いすから滑り落ちそうになった。
車いすの移動は、転落やずり落ちの危険があります。
車いすを動かす前に座位姿勢の確認をしましょう。
お尻が座面の前方に動いている場合があります。
◆その他誘導時の安全確認
口腔ケア中に歯間ブラシの先端部分が折れてしまった。
また、高齢者は加齢により嚥下反射や咳反射が低下し、誤飲・誤嚥を起こしやすい状況にあるといえます。
そのため、異物誤飲・誤嚥事故が発生したときの患者様の観察や医科連携に関するフォローチャートを作成し、施設や医療機関と確認しておくことが重要です。
部分義歯のクラスプ破損のため取込印象を行う。
修理のため一週間お預かりする必要あったため、患者様と施設職員に説明し、承諾をいただいた。
帰院後、施設から「患者様が義歯が無いため情緒不安定になり、日常生活が困難な状態になった」と連絡があった。
そのため、すぐに義歯をお返しし、クラスプ部分のみの印象に切り替えて対応した。
高齢者は認知機能の低下により、周囲の環境を理解する能力が低下し、環境の変化に対して過剰に反応することがあります。
「ヒヤリハット」は、不注意や準備不足などが主な原因です。
このような事例は各歯科医院でたくさんあるのではないでしょうか。
「ヒヤリハット」やクレームは重大な医療事故やトラブルにつながりかねません。
発生した際は、歯科医院内で必ず周知と対策を行いましょう。
再発防止のためにどのような対応が必要なのか、定期的に歯科医院の勉強会などで話し合いやルール決めを行うことが重要です。
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