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訪問歯科診療 公開日:2026/09/09

訪問歯科での歯科衛生士の役割【第1回】現場連携と体制づくり

訪問歯科での歯科衛生士の役割【第1回】現場連携と体制づくり

こんにちは。デンタルサポート訪問サポート担当の野田です。
私は地方エリアでの現場サポートや訪問先営業など、訪問歯科診療の支援業務全般に携わっています。
訪問歯科診療に関するお悩みから問題点を分析し、課題解決のヒントをお伝えします。

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近年、訪問歯科診療を導入する医院が増えるなかで、多くの院長先生から「歯科医師ひとりで訪問するか」「歯科衛生士を帯同させるか」という体制の選択に関するご相談をいただきます。
歯科医師ひとりでも、訪問歯科診療を始めること自体は可能です。通院が難しくなった外来患者様のフォローが中心であれば、患者数が少ないうちは、この形で十分に続けられるでしょう。
しかし、この体制のまま訪問先を増やし、患者数を伸ばしていくと、口腔衛生管理の継続やご家族への説明、施設との情報共有など、治療以外の業務負担が増えてきます。その際、適切な体制がなければ、歯科衛生士が本来担える業務まで、歯科医師が引き続き抱えることになります。

このコラムでは、歯科衛生士が訪問歯科診療で担える役割を整理し、その専門性を自院の診療体制にどう組み込むかを考えます。

訪問歯科診療で「口腔衛生管理」が求められる理由

令和6年度の介護報酬改定に伴い、施設系サービス(特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)では、口腔衛生管理体制の整備と、計画に基づく口腔衛生管理の実施が基本サービスとして義務付けられました。
また、在宅においても一律の義務はありませんが、口腔衛生管理や口腔機能の維持が重視されています。
訪問歯科診療は治療だけでなく、治療後も口腔衛生管理を継続できる運用体制まで求められています。だからこそ、歯科衛生士を診療補助にとどまらない専門職として活用する視点が欠かせません。

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

訪問歯科診療における歯科衛生士の役割とは?

訪問歯科診療において、歯科衛生士の役割は単なる診療補助に留まりません。治療業務以外の専門的な役割を歯科衛生士が果たすことで、自院にとって最適な訪問体制を構築できます。具体的にその必要とされる理由は以下の通りです。

【役割1】患者の状態変化に合わせた「継続的な口腔衛生管理」

要介護者の口腔状態は常に変化するため、歯科衛生士には患者様一人ひとりに合わせてケアを専門的判断で調整・提供する対応力が不可欠です。
歯科衛生士は、口腔衛生管理の計画立案、定期的な清掃、義歯の管理、口腔機能の維持支援といった専門的な役割を担います。こうした継続的な口腔ケアの積み重ねが、誤嚥性肺炎の予防や栄養状態の改善につながり、生活の質の向上をもたらします。

【役割2】患者本人・ご家族・介護職員への「日常ケアの指導」

口腔ケアの指導対象は、患者様本人、ご家族、介護職員など多岐にわたります。歯科衛生士は、患者様一人ひとりの口腔状態や身体能力、そしてご家族や介護職員の関与度といった周囲のサポート体制を総合的に見極めたうえで、指導します。
例えば、本人には身体機能に合った歯みがき方法を伝え、本人での実施が難しい場合はご家族や介護職員に対して、清掃方法や義歯の扱い方、口腔乾燥への対応などを指導します。
さらに、次回の訪問時に実施状況を確認し、必要に応じて指導内容を調整することで、口腔状態の継続的な改善と維持を支援します。

【役割3】現場と医療をつなぐ「ご家族・施設・多職種との連携」

ご家族や施設が求めているのは、「治療してもらえること」だけではありません。治療後の状態や日々のケアについて相談できる安心感が、長期的な信頼関係を支えます。
歯科衛生士は、この連携の窓口を担います。

〈連携時の確認例〉

  • ご家族:食べにくさ/食事量の変化はありますか?
  • 施設職員:入れ歯の使用状況や普段の様子に変化はありますか?
  • 必要に応じて:看護師・介護職・ケアマネージャーとも情報共有 
成功事例
ある歯科医院では、以前は報告書に「プラークコントロール不良」「義歯の不適合」といった専門用語のみを記載し、口頭での説明を行っていませんでした。そのため、連携先の施設の介護職員からは「結局、日々のケアで何をすればよいのか分からない」という声が上がっていたのです。
この課題を受け、歯科衛生士が施設に同行し、現場で直接説明する取り組みを開始しました。「食後はこの部分を重点的に拭いてください」「入れ歯が合わず、うまく噛めないようであれば、すぐにご連絡ください」など、専門用語に頼らず、介護職員がその場で即実践できる言葉へと置き換えました。その結果、介護職員から日々の気づきを自発的に共有してもらえるようになり、施設からの相談件数も徐々に増えていきました。

【ポイント】
専門的な所見をそのまま伝えるだけでは、施設職員は動けません。誰に、どんな言葉で伝えれば実際のケアにつながるのか、そこを翻訳できることが、歯科衛生士の大事な役割です。

歯科医師が診療に集中できる訪問体制へ

訪問件数が増えるほど、施設への報告やご家族への説明、記録の作成といった業務も積み重なり、診療より事務作業に使う時間のほうが多いと感じる日も出てくるでしょう。

こうした業務を歯科衛生士が担うことで、歯科医師は診断や治療に集中できます。歯科衛生士が口腔ケアや説明、情報共有を担うことは、単なる効率化ではなく、限られた訪問時間の中で何を優先するかを考えた訪問体制づくりだといえます。

まとめ:歯科衛生士の力をどう活用するか

訪問体制づくりでは、歯科医師が治療以外に担っている業務を洗い出し、どこまでを歯科衛生士に任せられるかを整理することが第一歩です。設計は医院ごとに異なるため、必要に応じて訪問歯科の支援事業者も活用しながら整理しましょう。

無料相談のご案内

「訪問歯科診療を始めたいが、何から準備すればよいかわからない」「歯科衛生士の活かし方がわからない」など、訪問歯科診療に関するご相談をお受けしています。
現在の訪問件数や患者層、訪問先の状況を確認しながら、歯立ち上げ準備や体制設計は、状況を伺いながら一緒に整理します。
初回のご相談は無料です。まずは自院の状況をお聞かせください。

デンタルサポートの訪問歯科診療サポート

訪問歯科診療の立ち上げから体制づくりまで、当社は次のようなサポートを提供しています。

  • 導入支援
    • ・未経験からのスタートでも、地域特性に合わせた戦略立案から現場研修、導入後のアフターコンサルティングまで一貫してサポートします。
  • 現場コンサルティング
    • ・訪問スケジュールやルートの組み方、訪問先との関係構築など、数字だけでは見えない現場の課題を整理します。
  • スタッフ教育
    • ・歯科衛生士をはじめとするスタッフの育成を、座学と実地研修(OJT)の両面から支援します。

【次回予告】
第2回では、歯科医師と歯科衛生士の役割分担を、訪問前・訪問中・訪問後の流れに沿って整理します。

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