Column
コラム
本シリーズでは、訪問歯科診療の集患について全3回にわたりご紹介しています。第1回(外来)、第2回(在宅)に続き、最終回の今回は施設へのアプローチ、いわゆる「施設集患」に焦点を当てます。施設は意思決定者が複数で、現在の歯科医院との関係もあるため、外来・在宅とは別の難しさがあります。
訪問歯科診療の施設集患に関して、次のようなお悩みはありませんか?
「挨拶に行っても、面談や依頼に結び付かない」
「すでに利用している歯科医院があり、なかなか話を聞いてもらえない」
今回は、施設側が重視する「運用の安心」を切り口に、キーマンへの効果的なアプローチ方法と訪問依頼につなげる進め方を解説します。
目次
訪問歯科診療の対象となる施設は幅広く存在します。施設種別により保険の取り扱いなどが変わるため、まずは全体像を押さえておきましょう。
※いずれの施設でも、原則として「通院困難な方(訪問歯科診療の対象となる方)」が対象です。
・ 特別養護老人ホーム(特養) ・ 介護老人保健施設(老健) ・ ショートステイ(短期入所生活介護) ・ 病院(歯科がないもの) ・ 障碍者施設 ・ 介護医療院
・ 養護老人ホーム ・ 軽費老人ホーム(A型・B型・ケアハウス) ・ 有料老人ホーム(介護付・住宅型・健康型) ・ グループホーム(認知症対応型共同生活介護 等) ・ サービス付き高齢者向け住宅 ・ 小規模多機能型居宅介護(宿泊サービス)
施設では、すでに利用している歯科医院があることがほとんどです。そのため、外来・在宅に比べて、キーマン(施設長・看護主任・介護主任など)と面談できるまでのハードルが高い傾向があります。
その背景には、施設の意思決定が「個人」ではなく「組織」で行われる点があります。関与者(施設職員・看護職・相談員・施設長など)が多く、窓口が分散しやすいためです。その結果、受付や現場担当の段階で「間に合っています」と断られ、キーマンまで話が届かないことがあります。
施設側は、入居者様の安全性と施設運営の安定性を最優先します。そのため、評価されるのは治療技術や内容だけではありません。
具体的には、①連絡体制(誰に、いつ、どう報告するか)、②急患対応の速さ、③施設職員の手間が増えない設計などの運用面の再現性が重視されるのです。
こうした状況を打開するには、施設側が何を基準に選んでいるかという「判断軸」を押さえる必要があります。
そこで重要なのは、「切り替えてください」とお願いするのではなく、施設側のリスクと負担を下げつつ、「まず相談できる関係」を作ることです。
そのために、成果が出る医院が共通して行なっているポイントが次の4つです。
施設ごとの方針や現在の歯科医院の対応を調査し、「施設側の運用負担になっている点」などの現場課題を把握します。
「初回から契約を狙う」よりも、面談や情報交換を重ね、連携の相性を確認しながら信頼関係を築くことが重要です。
現在利用している歯科医院について、「困りごと」や「要望」がないか、丁寧にヒアリングします。そのうえで、自院が「どこまで対応できるか」「何を優先して解決できるか」をわかりやすく伝えます。
なお、「困ったときのスポット利用」や「質問・相談だけでも可能」といった、導入ハードルを下げる提案も有効です。
【成功事例】
ある歯科医院では、すでに利用している歯科医院がある施設に対して、まずは「急患時だけのスポット対応」や「口腔ケアに関する相談窓口」として関わりを始めました。連絡先・報告方法・対応できる範囲を最初に整理し、施設側に伝えたことで、不安や職員の負担が軽減され、最終的に定期訪問につながりました。
「併用」や「スポット利用」からでも相談できることが伝わる資料を用意します。施設職員や介護職員が入居者様・ご家族に説明しやすい内容(診療内容、急患時の対応、連絡方法など)に整理することが大切です。
施設集患で最も重要なのは、治療内容のアピールよりも先に、現場の負担を減らす「運用の安心」を示すことです。
最初から切り替えを狙うのではなく、「併用」「スポット利用」から小さく関わり信頼を積み上げ、段階的な利用拡大につなげます。
ただし、そのためには、キーマンの見極めや提案資料の作成、運用設計の構築など、入念な準備が欠かせません。これらを歯科医院だけで進めるのは大きな負担となるため、専門家の知見を取り入れて、戦略的に進めることをおすすめします。
施設側が重視する「運用の安心」を軸に、効果的なアプローチ方法を提案します。
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