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訪問歯科診療 公開日:2026/01/14

訪問歯科診療は「始める」より「続ける」が難しい?持続可能な運用体制と仕組みを解説

訪問歯科診療は「始める」より「続ける」が難しい?持続可能な運用体制と仕組みを解説

こんにちは。デンタルサポート訪問サポート担当の野田です。
私は地方エリアでの現場サポートや訪問先営業など、訪問歯科診療の支援業務全般に携わっています。
訪問歯科診療に関するお悩みから問題点を分析し、課題解決のヒントをお伝えします。

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多くの歯科医院が訪問歯科診療を立ち上げた後に直面するのは、「始めること」よりも「継続すること」の難しさです。
導入当初は、機材準備や訪問特有の診療スキル習得に意識が向きがちですが、実はその先の「持続可能な運用体制」の構築こそが、事業の成否を分ける大きな壁となるのです。
なぜなら、医療保険・介護保険の複雑な算定、施設やケアマネジャーを通じた集患、多職種連携、スケジュール管理、スタッフ配置といった外来診療にはない多岐にわたる業務が大幅に増加するからです。持続可能な運用体制を構築するためには、まず現状の課題を把握し、具体的な仕組みを導入することが不可欠です。

本コラムでは、多くの医院が陥る「運用の壁」とスタッフの離職を防ぎ、着実に収益化するための重要ポイントを解説します。

このコラムでわかること
  • 訪問歯科診療の継続が難しい原因とその本質的な解決策
  • スタッフの離職を防ぎ、訪問診療を安定収益化する仕組み作りの要点
  • 持続可能な運用体制を築く実践ヒント

運用の壁」:3つの課題とは

訪問歯科診療は、単に患者様を増やせば自然に収益が上がるというほど単純ではありません。
院内の体制が十分に整っていない状態で患者数が増えると、現場の負担が大きくなり、最悪の場合、訪問チームの崩壊や撤退に追い込まれるケースも珍しくありません。
このような事態を避けるためにも、ここでは、訪問歯科診療の継続を難しくしている代表的な3つの課題について見ていきましょう。

【1】外来との時間配分の難しさ

多くの歯科医院は外来診療と並行して訪問診療を行っています。しかし、外来と訪問の時間配分は難しく、次のような課題を抱えているところが多いようです。

  • 午前の外来が長引き、午後の訪問に遅刻してしまう
  • 施設や患者様都合による急なキャンセル・変更で、無駄な時間が生じる
  • 外来の急患対応で訪問チームが出発できない、など

まず念頭に置くべきは、訪問歯科診療において避けて通れない「移動時間」の発生です。そのため、ユニット単位で動く外来とは全く異なるスケジュール管理の仕組みが必須となります。
戦略のないルート設定や無理な訪問スケジュールは、移動コストの増大を招くだけでなく、スタッフの疲弊や不満に直結します。

【2】「見えない業務」によるスタッフの疲弊

訪問歯科には、診療そのもの以外に膨大な「見えない業務(バックヤード業務)」が存在します。

  • 機材・薬剤の準備や片付け
  • 診療記録・計画書の作成
  • 移動ルートの検索や駐車場の確認 多職種への情報提供書の作成・配布、など

これらの業務分担の仕組みが曖昧なままでは、特定のスタッフに負担が集中しやすくなります。その結果、スタッフの離職につながり、人手不足によって、訪問診療自体を継続できなくなる可能性もあります。
実際に、多くの歯科医院が訪問診療から撤退している最大の理由は、スタッフを安定して確保し、定着させることが難しい点にあります。

【3】多職種連携に伴う情報管理コストの増大

訪問歯科診療では、ケアマネジャー、施設スタッフ、ご家族、医科の主治医など、外来よりも多くの関係者と連携しなければなりません。それに伴い、情報の共有や調整といった付帯業務が激増し、「情報管理コスト」の増大を招きます。

  • 毎回の診療報告
  • 施設やご家族からの問い合わせ対応
  • 担当者会議への出席、など

これらを院長先生や担当歯科医師が全て担おうとすると、本来集中すべき「治療」や「医院経営」といった重要な業務に手が回らなくなってしまいます。

成功医院が実践する「持続可能な仕組み」の構築

長期的に安定した運営と収益化を実現している医院には、明確な共通点があります。それは、特定の個人に依存せず、「誰が担当しても、高品質な診療と円滑な業務が可能な仕組み」を構築していることです。
成功医院が取り組む具体的なポイントは以下の通りです。

【1】定型業務のマニュアル化(標準化)

不測の事態が発生しやすい訪問現場だからこそ、定型業務には「迷わず動ける仕組み」を取り入れるべきです。
例えば、準備品のリスト化や報告書のテンプレート化、業務マニュアルの整備などです。これにより、スタッフの心理的負担が軽減され、人為的ミスを防ぎやすくなるだけでなく、新人の早期戦力化にもつながります。

【2】医院全体で取り組む「教育体制」の構築

失敗する医院の多くは、「訪問チームしか訪問歯科診療を理解していない」という「属人化」のリスクを抱えています。
「属人化」のリスクを回避するには、外来の歯科衛生士や受付(事務)スタッフも含めて、医院全体で訪問歯科診療への理解を深める教育と情報共有を行う体制が不可欠です。新人の入職や急な欠員時にも、組織として対応できるようになります。

【3】自院のリソースに合わせた「無理のない拡大計画」

訪問歯科診療の立ち上げ直後の典型的な失敗は、運用体制が十分に整う前に、患者数を急激に増やしてしまうことです。地域からの依頼に応えたいというお気持ちはわかりますが、無理な拡大は、結果として診療の質を低下させ、継続が困難になる事態を招きます。
成功医院は、自院のリソース(時間・人員)を客観的に把握し、戦略的にコントロールすることで計画的に拡大しています。

具体的な仕組みのヒント
訪問スケジュールの効率化
患者様や施設からの依頼に「いつでも対応する」のではなく、医院側で訪問可能な曜日や時間帯を決めて固定することで、訪問スケジュールを効率化する仕組みを導入しています。
段階的な拡大計画(スモールスタート)
まずは週1回、半日といった小規模からスタートし、運営体制が定着してから段階的に訪問枠を広げています。
業務負荷の数値化
移動距離やバックヤード業務量(連絡調整の件数、文書作成にかかる時間など)を数値化し、定期的に評価する仕組みを構築しています。これにより、特定のスタッフに負担が偏らないよう調整を行っています。

訪問歯科診療は「続ける」ことで、はじめて価値が生まれる

訪問歯科診療は、患者様の生活を守り、地域の医療体制を支える大きな力になります。ただし、その真の価値は「継続して提供すること」によってはじめて生まれます。
しかし、その継続は容易ではありません。「院長先生の情熱」や「スタッフ個人の頑張り」だけに頼る運営は、いずれ限界を迎えてしまうでしょう。
そこで、外来とは全く異なる、戦略的な運営体制が不可欠です。大切なのは、「自院の規模やスタッフ構成に合った、無理なく続けられる仕組み」を構築することです。適切な仕組みがあれば、訪問歯科診療は医院経営の安定と地域の信頼獲得を同時にかなえる、強力な事業の柱となり得ます。
訪問歯科診療の「持続可能な運用体制」の構築について、ぜひ一度、専門家の視点を取り入れてみませんか。

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「訪問歯科診療を始めたいが、何から着手すべきか迷っている」「すでに始めているが、収益化に課題を感じている」「スタッフの負担が大きく、離職が相次いでいる」
そのようなお悩みをお持ちの先生は、ぜひ一度当社の無料相談をご利用ください。数多くの訪問歯科診療導入コンサルティング実績に基づき、貴院の現状に合わせた具体的な導入ステップや無理のない運用マニュアルの構築をサポートします。

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