Column
コラム
こんにちは。デンタルサポート歯科事業部の萩原です。
訪問歯科診療サポート歴20年。現場サポート、介護施設などへの営業経験を活かし、「訪問歯科を”地域に必要とされる診療”として根付かせる」ことを目標に支援を提供しています。

超高齢社会を迎えた日本では、訪問歯科診療のニーズがますます高まっています。しかし、「訪問歯科をこれから始めたい」「すでに始めたものの、思うように集患が進まない」という悩みは少なくありません。
本コラムでは、訪問歯科診療の集患における具体的なアプローチについて、3回にわたって解説します。第1回は「外来患者様へのアプローチ)」をテーマにお届けします。
目次
厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」によると、「平均寿命」は男性81.05歳、女性87.09歳であるのに対し、「健康寿命」は男性72.57歳、女性75.45歳です。この差にあたる「日常生活制限期間」は、男性で約8.5年、女性で約11.6年にも及びます。
これは、多くの方が約10年間にわたり医療や介護を必要としながら生活することを意味しており、自力での通院が困難になる可能性を示唆しています。今後も増加していく高齢者のこの期間を支えることこそ、「地域に必要とされる診療」として訪問歯科診療が担うべき重要な役割です。
一方で、市場の競争は激化しています。これは、多くの歯科医院が新たな患者層を求めて、訪問歯科診療に乗り出しているためです。事実、厚生労働省の調査によると、訪問歯科診療を導入する歯科医院は増え続け、今や全体の約34%に達しています。
つまり、訪問歯科診療は、「待っていれば患者様が集まる」時代から、「戦略的に動かなければ選ばれない」時代へとすでに入っています。
この環境で成果を出すには、確実な集患戦略が不可欠です。その最も確実な戦略が「外来患者へのアプローチ」なのです。
出典:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
訪問歯科診療の集患は、院外への広報活動ではなく、最も身近な「既存の外来患者様」からスタートすることが重要です。
厚生労働省の「令和5(2023)年受療行動調査」によると、医療機関にかかるときの情報入手先(外来)として、「家族・友人・知人の口コミ」が約70%を占めています。

これは、私たちがコンサルティングの現場で日々実感していることと完全に一致します。患者様と良好な関係を築けている歯科医院ほど、ご家族や知人からの紹介で訪問歯科診療の依頼が自然と増えているのです。特に地域で長く開院している医院は、幅広い年代の患者様とつながりがあるため、通院が難しくなったご家族や知人を紹介していただける可能性が非常に高い傾向が見られます。つまり、外来患者様は将来の患者様候補であると同時に、最も信頼できる「口コミの発信源」でもあるのです。
したがって、外来患者様に対し、日常の診療や接遇の中で「訪問歯科診療」への関心喚起や周知を徹底することで、以下のメリットが得られます。
ここでは、すぐに取り組める具体的なアプローチを7つご紹介します。
待合室の「ポスター」や「パンフレット」などの広報ツールは、認知の第一歩です。患者様やご家族が「自分のことかもしれない」と感じるデザインと文言を工夫することで、問い合わせにつながります。
受付での声かけが、訪問歯科診療の潜在ニーズを掘り起こすきっかけになります。全スタッフが案内できるようにするために「トークスクリプト」と「運用ルール」の整備が必要です。
歯科医師や歯科衛生士からの「通院が難しくなったら、私たちが伺います」という一言は、患者様に絶大な安心感を与えます。「どの患者様に、どのタイミングで、何を伝えれば心に響くのか」この的確な見極めが、将来の相談につながります。
問診票に「訪問歯科診療に興味がある」という項目を追加し、その後の対応フロー(誰が、いつ、どのようにアプローチするか)を設計することが肝要です。
「●歳以上の患者様には必ずお渡しする」といったルール化はもちろん、具体的な対応フロー(どのスタッフが、どのタイミングで、どのようにお声がけして渡すか)を定めることで、効果を発揮します。
リコールハガキへの案内の追加は、来院が途絶えた患者様やそのご家族にもアプローチできる有効な手段です。メリットを伝える文面とレイアウトの工夫が必要です。
ご家族やケアマネジャーはWebで情報収集しています。そのため、訪問歯科診療の専門ページは必須です。ただ作るだけでなく、検索で見つけてもらい、問い合わせにつなげるためのSEO対策やコンテンツ戦略が不可欠です。
前項でご紹介した7つのアプローチをすでに試している医院も多いでしょう。しかし、「ポスターを貼っても集客できない」「スタッフによって案内の質にバラつきが出てしまう」といった壁にぶつかるケースが非常に多く見られます。
これらの問題の根本原因は、一つひとつの施策が連携しない「点」の活動になっており、医院全体で機能する「仕組み」として設計されていないことにあります。
例えば、ポスターに興味を持った患者様から質問を受けた場合には、担当者へ速やかに取り次ぎします。担当者は患者様にわかりやすく説明を行い、必要な手続きについてもご案内します。こうした連携によって、訪問歯科診療のお申込みやご予約につながります。
このように、スタッフ一人ひとりが自律的に動き、埋もれたニーズを掘り起こせる院内体制を構築することが重要です。
訪問歯科集患の第一歩として「外来患者様へのアプローチ」の重要性と具体的な実践方法を解説しました。
日々の診療や接遇の中に「訪問歯科診療」の情報発信を組み込み、潜在ニーズを把握する「仕組み」を整備することが、訪問歯科診療を安定的に軌道に乗せるための最も確実な土台となります。
【次回予告】
次回は、院外へアプローチする「在宅集患の秘訣」として、地域のキーパーソンであるケアマネジャーとの関係構築について詳しく解説します。
「コラムで挙げられた「仕組み」を具体的に知りたい」
「効果的なポスターやパンフレットを作りたい」
「訪問歯科診療の知識や接遇に関して、スタッフの教育をどのように進めればよいか悩んでいる」
このようなお悩みをお持ちの歯科医院は、ぜひ一度、訪問歯科診療コンサルティングを行う当社へご相談ください。まず、貴院の状況を詳しくお聞きし、その上で最適な集患戦略をご提案します。なお、初回のご相談は無料となっています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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