Column
コラム
12月18日は、通院が困難な方の「食べたい」を支える「訪問歯科診療の日」です。
この記念日に合わせ、訪問歯科診療の周知に役立つポスターや口腔機能トレーニング動画などの無料ツールを公開しました。ぜひご活用ください。
こんにちは。デンタルサポート訪問サポート担当の野田です。
私は地方エリアでの現場サポートや訪問先営業など、訪問歯科診療の支援業務全般に携わっています。訪問歯科診療に関するお悩みから問題点を分析し、課題解決のヒントをお伝えします。

訪問歯科診療を始めたものの、患者様のご家族への対応に気を使ったり、時間を要したりすることに課題を感じていませんか?
超高齢社会の進展に伴い、要介護や認知症の患者様が増加しており、治療方針の決定にご家族が深く関わるケースは珍しくありません。
今回は、訪問歯科診療の成否を分ける「家族対応」について、トラブルを防ぎ信頼を築くための具体的なポイントとそれを医院の強みに変える「仕組み化」の重要性を解説します。
✓ なぜ丁寧に説明しても「そんな説明は聞いていない」というクレームが起きるのか? ✓ ご家族の「見えない不安」を解消し、信頼に変えるアプローチ法 ✓ 意見が対立するご家族への対応など、明日から使える実践テクニック ✓ スタッフの属人化を防ぎ、医院の強みに変える「仕組み」の重要性
目次
特に要介護や認知症の患者様の場合、ご本人の理解力や記憶力の変化により、治療内容を十分に把握・記憶することが難しい場合があります。
歯科医師や歯科衛生士が丁寧に説明していても、患者様は内容を覚えておらず、ご家族が治療内容を正確に知らないまま診療が進んでしまうことも少なくありません。その結果、治療後に「そんな説明は聞いていない」「もっと他の選択肢があったのでは?」といった誤解が生じ、クレームや診療中断につながるリスクがあります。
こうした事態を防ぐためには、説明の対象を患者様ご本人だけでなく、意思決定のキーパーソン(主たる介護者や医療同意権を持つ家族)となるご家族にも向け、確実に情報を提供する仕組みづくりが必要です。
訪問先では、医院のようにレントゲン画像や模型を使いながら説明することが難しいため、治療内容が具体的にイメージしにくいという課題があります。さらに、ご家族が離れて暮らしている場合は、診療の様子や経過を直接見ることができません。
この「見えないこと」による不安や「治療は本当に必要なのか」「費用は妥当なのか」といった不信感が、後のクレームやトラブルの原因になり得ます。したがって、「ご家族の不安を受け止め、わかりやすく説明する姿勢」が、訪問歯科診療に携わる歯科医院の必須スキルとなります。
治療前に患者様の口腔状態や治療計画、選択肢、費用などを明確に伝えることは、トラブル防止の基本です。
しかし、口頭説明だけでは「言った・言わない」問題に発展しがちです。そこで有効なのが、同意書や写真やイラストを添えた説明資料です。これらを提供することで、医院への安心感と治療への納得感を高めることができます。
ご家族の不安は、治療内容だけではありません。「痛みはどれくらいか」「高齢の身体に負担はないか」「治療後の生活はどう変わるのか」など、懸念が多く寄せられます。質問には、専門用語を避け、理解しやすい言葉で丁寧に説明することが大切です。
特に注意したいのが、同じ質問を繰り返された際の対応です。「ご心配ですよね」「わかりにくい部分なので、もう一度ご説明しますね」といった共感的な一言がご家族の不安を和らげ、信頼関係を深めます。
診療に立ち会えない、あるいは離れて暮らすご家族にとって、治療後の報告は特に重要です。「今日の診療内容」「患者様の様子」「次回の予定」という3点をセットで伝えましょう。
例えば、「本日は歯石除去を行いましたが、特に痛みや体調変化はありませんでした。次回は●日に義歯の調整に伺います」といった簡潔な報告に、「診療中に笑顔が見られました」「いつもより会話が多かったです」など、具体的なご様子を添えることで、ご家族の安心感はいっそう高まります。
また、治療方針の変更など判断が必要な場合は、必ず事前に相談し、家族の同意を得ましょう。
このように、訪問歯科診療は家族の理解と協力があってこそ成り立つ医療といえます。
患者様の配偶者や子ども、親族など、複数のご家族が関わる場合、治療方針をめぐって意見が対立することがあります。
このような場合は、歯科医師として客観的な「事実」を整理し、提示することが重要です。
現在の口腔状態や治療の選択肢、各選択肢のメリット・デメリット、費用などを資料にまとめ、感情論ではなく事実に基づいた話し合いの土台を提供します。
良かれと思って詳細に説明した結果、情報量が多すぎて、かえってご家族を混乱させてしまうことがあります。
大切なのは「伝えるべき情報を絞り、相手の理解度を確認しながら、段階的に提供すること」です。
特に時間が限られる訪問先での対応では、要点をまとめた資料を手渡すなど、効率的でわかりやすい情報の提供が求められます。
訪問歯科診療において、ご家族への対応は患者様の安心と安全を守り、医院への信頼を確固たるものにするうえで重要な要素です。
今回ご紹介した「同意形成」「不安解消」「情報共有」の3つのポイントを徹底することで、診療が円滑に進むだけでなく、クレームの予防やスタッフの精神的負担軽減にもつながります。
しかし、これらの対応をスタッフ個々のスキルや意識だけに頼っていては、対応にばらつきが生じ、いずれ限界が訪れます。安定した訪問歯科診療を実現するには、家族対応を標準化し、「医院全体の仕組み」として定着させることが不可欠です。
「何から手をつければ良いかわからない」「スタッフへの教育方法に悩んでいる」「スタッフによって対応がバラバラ」など、課題をお持ちでしたら、ぜひ一度、ご相談ください。
多くの歯科医院の訪問歯科を立ち上げ、運営改善を支援してきた専門コンサルタントが、貴院の状況に合わせた「家族対応のアドバイス」「医院ルール・マニュアルの策定のアドバイス」「スタッフ研修」など、具体的な解決策をご提案します。
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