Column
コラム
こんにちは。デンタルサポート歯科事業部の萩原です。
訪問歯科診療サポート歴20年。現場サポート、介護施設などへの営業経験を活かし、「訪問歯科を”地域に必要とされる診療”として根付かせる」ことを目標に支援を提供しています。
訪問歯科診療は、通院困難な患者様の生活の場で歯科医療を提供する重要な役割を担っています。
一方、院内とは異なる診療環境では予期せぬトラブルや事故が発生するリスクもあります。
本連載「訪問歯科における医療事故・トラブルへの対応」では、訪問歯科診療で起こりうるさまざまなトラブルへの対応策や未然に防ぐための実践的なノウハウをお届けしています。
第3回となる今回は、訪問歯科診療における環境リスクに焦点を当て、以下の3つの重要課題について、具体的な対策を実例とともに解説します。
また、安全で信頼される訪問歯科診療を実現するためのポイントもあわせてご紹介します。
目次
訪問歯科診療では、院内と異なる環境で診療を行うため、さまざまなリスクに直面します。患者様の転倒、診療機器の故障、個人情報の紛失などは、診療所の信頼を大きく損なう可能性があります。
これらのリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることが、信頼関係を築き、訪問診療を成功させる鍵となります。
訪問歯科診療では、診療を行う場所が居室以外の場合もあり、移動が必要となることがあります。移動中は段差や狭い廊下、滑りやすい床材、さらに介護用ベッドや車椅子への移乗など、さまざまなリスクが伴います。
▶ 事例1:ベッドから車椅子への移乗中に転倒
特別養護老人ホームでの診療時、施設スタッフが不在の中、歯科助手が患者様をベッドから車椅子へ移乗させようとしたところ、患者様がバランスを崩して転倒しました。幸い怪我はありませんでしたが、ご家族から「医療従事者なのに危険なことをした」とクレームが入り、医院の信頼を損なう事態となりました。
持ち運ぶ機材は精密機器であるため、現場での修理が難しく、故障すると診療が中断されてしまいます。
▶ 事例2:ポータブルユニットの故障で診療中断
診療中にポータブルユニットの吸引機能が突然停止しました。復旧作業を試みましたが復旧せず、やむを得ず診療を中断し、後日改めて訪問することとなりました。施設スタッフや患者様にご迷惑をおかけし、「準備が不十分ではないか」とのご不信を招く結果となりました。
患者情報を含むカルテや申請書類など、個人情報の管理にも細心の注意が必要です。
▶ 事例3:持参書類の紛失・個人情報漏洩
帰院後、患者リストが入ったファイルが見当たらないことに気付きました。そのファイルには患者名や生年月日、保険情報などの個人情報が記載されていたため、情報漏洩のリスクが懸念されました。幸い、すぐにそのファイルが施設内で見つかり、外部に流出していないことが確認できました。しかし、この出来事をきっかけに、医院の情報管理体制に不備があると指摘されました。
訪問歯科診療では、予想外の環境変化や機材トラブル、ヒューマンエラーが発生する可能性があります。重要なのは、個人の経験や感覚に頼るのではなく、標準化されたマニュアルや仕組みを整備し、スタッフ全員が同じように対応できる体制を作ることです。
具体的には、訪問前にチェックリストを使って機材を点検することや、診療前に患者情報を共有するためのルールを設けること、さらに緊急時の連絡体制を整えることなど、安全な診療を支える仕組みづくりが欠かせません。
訪問歯科診療を成功させるためには、技術やコミュニケーションだけでなく、安全な環境を整えることも欠かせません。
「どんなに丁寧に治療をしていても、たった一度の転倒事故で患者様や関係者からの信頼を失ってしまう」——これは歯科医院スタッフの切実な声です。
すべてのスタッフが理解しやすい医院のルールや体制を整え、さらに、それらを定期的に見直すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
「移動時の転倒が心配」「機材トラブルで診療中断が続いている」「情報管理に自信がない」このようなお悩みをお持ちの歯科医院様は、ぜひお気軽にご相談ください。
デンタルサポートでは、25年以上の訪問歯科診療サポート実績をもとに、環境整備やマニュアル作成、スタッフ研修、機材管理の見直しなど、リスク管理に関するサポートも行なっています。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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