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コラム
こんにちは。デンタルサポートの歯科採用職人 石田です。
当社の採用コラムでは、採用業務の知識や経験が浅い方でも、すぐに役立ていただける情報の発信を心がけていますので、ご一読をいただき参考にしていただけたら幸いです。
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院長先生、こんなことしていませんか?
「新しく入ったAさん。どうも会話がうまくかみ合わないし、期待していたほどの能力も感じられない。そのため、試用期間のうちに辞めてもらおうと考えている」
実は、このような対応は思いがけないトラブルに発展する可能性があります。
今回のテーマは、運用方法についてご相談いただくケースが増えてきた「試用期間」についてです。
採用プロセスでは「試用期間」を設けることが一般的です。しかし、試用期間について正しく理解せずに運用すると、トラブルや医院の運営に支障をきたすリスクがあります。
そこで今回は、試用期間について知っておくべき3つのポイントと正しい運用方法を解説します。
目次
ここでは、雇用主である院長先生が特に誤解しやすいポイントをご紹介します。
まず、試用期間についてよくある誤解のひとつに、「働き始めたスタッフが適性に欠けている場合、簡単に解雇できる」というものがあります。しかし、法律上は試用期間中であっても労働契約が成立しており、正当な理由がなければ解雇できないことが明確に定められています。
試用期間中であっても、通常の解雇と同様に「30日前に解雇予告を行う」、もしくは「解雇予告手当として30日分の給与を支払う」ことが法律で義務付けられています。
ただし、例外として、試用期間開始から14日以内であれば、上記のルールが適用されない場合があります(労働基準法第21条)。この14日間はスタッフの適性を見極める大切な期間となるため、慎重な判断が求められます。この期間に解雇する場合も、客観的かつ合理的な理由が必要です。
試用期間後、本採用とするかどうかの判断は、院長先生に委ねられています。その際に重要なのは、「どんな事があったら不適格と判断されるのか」という判断基準や評価方法を明確にしておくことです。基準が曖昧なまま運用すると、トラブルの原因となるため注意が必要です。
また、雇用契約時に試用期間について説明し、スタッフと認識を合わせておくことをおすすめします。
もうひとつ注意していただきたいのは、「試用期間中は待遇や労働条件が本採用と異なっても問題ない」という誤解です。実際、これは法律違反となります。原則として、試用期間中も本採用と同じ労働条件を適用しなければなりません。
労使双方で合意がない無茶な要求はNGです。
試用期間であっても、労働契約は適用されます。労働条件を守らない場合、行政機関による調査や指導の対象となる可能性があります。
また、不当な扱いはスタッフのモチベーション低下や医院の評判悪化につながり、結果として医院運営に大きな影響を与える可能性があります。
試用期間中の労働条件が本採用と異なる場合は、その内容を雇用契約書に明記する必要があります。例外的な扱いが必要な場合でも、法律や院内ルールに従い、スタッフに丁寧に説明することが大切です。
試用期間中の減額記載で多くの求職者から避けられます。
現在の歯科業界は、求職者に有利な「超売り手市場」となっています。試用期間中は給与が減額されると記載することで、求職者に敬遠されやすい傾向があることも覚えておきましょう。
試用期間中の退職トラブルの原因のひとつに、「試用期間だから、いつでも簡単に辞められる」という労働者側の誤解も挙げられます。たしかに、試用期間は雇用者と労働者がお互いの適性を確認する期間とされていますが、「試用期間だから」という理由だけで、スタッフが即日で退職できるわけではありません。
退職の手続きは、原則として医院の規則に従う必要があります。医院側は、この点をスタッフにしっかり説明し、理解してもらうことが大切です。
スタッフが退職を申し出る場合は、民法第627条に基づき、少なくとも退職予定日の2週間前までに申し出る必要があります。
また、医院側が1ヶ月前までに申し出てほしい場合は、その旨を就業規則と雇用契約書に明記しておきましょう。
起きた事実を真摯に受け入れましょう。
早期退職が起きてしまった際には、その理由を客観的に分析することが重要です。これにより、就業環境や人材定着率の改善につなげることができます。
例えば、「スタッフと相性が合わない」「仕事内容が合わない」「思っていたよりも忙しい」などが、新人が早期退職を考える主な理由とされています。これらの情報を整理し、今後の採用活動に活かしましょう。
試用期間は単なる「お試し期間」ではなく、スタッフとの信頼関係を築くための重要な時期です。法的トラブルを避け、試用期間を効果的に活用するために、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。
医療現場は閉鎖的な環境になりやすいため、院内の課題に気づきにくいことがあります。医院独自の「当たり前」が、スタッフにとって大きなストレスの原因になっていることがあります。特に「うちではこうだから」という慣習には注意が必要です。
そこで重要になるのが、客観的な視点を取り入れることです。他院の成功事例や最新の採用・定着の方法を知ることで、自院の課題を明確にし、改善策を見出すことができます。
医院の「当たり前」を見直し、スタッフと患者様の双方が満足できる医院づくりを目指していきましょう。
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「他の医院はどうしているの?」「うちの医院は何か問題ある?」など、採用や人材定着に関するどんな疑問でもお気軽にご相談ください。貴院の状況を丁寧にヒアリングし、具体的な解決策をご提案します。
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